マクシム・ゴーリキイのひとおよびげいじゅつ
マクシム・ゴーリキイの人及び芸術

冒頭文

現代は、一つの深刻で巨大な時期である。旧いものの世界的な崩壊、新たな社会の建設。二つの力が切迫して相うち、どんな平凡な一市民の生活さえ、それを観察すれば複雑な社会的矛盾からまぬかれ得てはいないのである。動揺はいたるところに起っている。 この時代に、世界は文学の分野において誇るに足る二人の勇士をもっている。ロマン・ローラン、マクシム・ゴーリキイの二人である。 これらの人々は、いず

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1933(昭和8)年10月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日