ぶんがくにおけるふるいもの・あたらしいもの 「ふううん」について |
文学における古いもの・新しいもの 「風雲」について |
冒頭文
これまで主として詩、評論の仕事をしてきた窪川鶴次郎が、今度『中央公論』に発表した小説「風雲」については、きっとさまざまの人の批評があるであろうと思う。 私としては、この作者が先ずこういうところから階級人の現実について省察しはじめた態度に、この人らしい着実な階級的勇気というようなものを感じた。 「風雲」には、竹造という文化団体関係の「対人関係における気の弱さ」をもった一人の階級人が主
文字遣い
新字新仮名
初出
「行動」1934(昭和9)年12月号
底本
- 宮本百合子全集 第十巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年12月20日