バルザックにたいするひょうか
バルザックに対する評価

冒頭文

偉大な作家の生涯の記録とその作品とによって今日までのこされている社会的又芸術的な具体的内容は、常に我々にとって尽きぬ興味の源泉であるが、中でも卓越した少数の世界的作家の制作的生涯というものは、後代、文学運動の上に何かの意味で動揺・新たな方向への模索が生じた時期に、必ず改めて究明・再評価の対象として広汎な読者大衆の手にとりあげられるものであると思う。 トルストイの作品とその生涯との社会的意

文字遣い

新字新仮名

初出

「文学古典の再認識」芸術遺産研究会編、現代文化社、1935(昭和10)年2月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日