ゆけるマクシム・ゴーリキイ
逝けるマクシム・ゴーリキイ

冒頭文

一人の人間として最も誠実な心から人類の生活の向上と発展とを信頼し、そのために永い困難な芸術家としての努力を捧げたマクシム・ゴーリキイの六十八年の輝きある生涯は、この六月遂に終った。 ゴーリキイは、ロマン・ローランなどと共に今日の世界がその人を持っていることを誇る偉大な芸術家の一人であるが、特にゴーリキイはその名を聞いたとき人々の心に一種云うに云われぬ暖かさ、親しさを感じさせ、終局に於て人

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1936(昭和11)年8月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日