「あるおんな」についてのノート |
「或る女」についてのノート |
冒頭文
有島武郎の作品の中でも最も長い「或る女」は既に知られている通り、始めは一九一一年、作者が三十四歳で札幌の独立教会から脱退し、従来の交遊関係からさまざまの眼をもって生活を批判された年に執筆されている。 「或る女のグリンプス」という題で『白樺』に二年にわたって発表されたらしい。私共がそれを読んだのはそれから足かけ七年後、作者が題を「或る女」と変えて著作集の一部として発表した頃であった。一九一七年
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸」1936(昭和11)年10月号
底本
- 宮本百合子全集 第十巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年12月20日