おちたままのネジ |
落ちたままのネジ |
冒頭文
一 十月号の『文芸』に発表されている深田久彌氏の小説「強者連盟」には、様々の人物が輪舞的に登場しているが、なかに、高等学校の生徒で梅雄と云う青年が描かれている。 この小説で、作者はおそらく作品の小さくて破綻のない気分の磨き上げなどというところを目ざさず、大きくダイナミックに動いて作品として勇気のある不統一ならばそれが生じることを敢ておそれぬ心がまえであったのだろう。描こうとする現実
文字遣い
新字新仮名
初出
「時事新報」1936(昭和11)年10月6~8日号
底本
- 宮本百合子全集 第十巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年12月20日