ぶんがくのたいりくてきせいかくについて
文学の大陸的性格について

冒頭文

『現代アメリカ文学全集』の中にドライサアの「アメリカの悲劇」が出ている。 この間よみかえしてみて、これまでとはちがった新しい感銘をうけた。もと読んだときには、ずいぶん古いことだったけれども、文章のきめの荒さや作者の身についている一つのぬーっとした脂(あぶら)こさが、鼻にぬけるアメリカ英語と共通な反撥を感じさせるようで馴染(なじ)めなかった。今度読みかえすと、やはりこの作品がアメリカを描いた文

文字遣い

新字新仮名

初出

「月刊文章」1940(昭和15)年11月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十二巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年4月20日