せいかつしゃとしてのせいちょう ふたばていしめいのひげきにもふれて
生活者としての成長 二葉亭四迷の悲劇にもふれて

冒頭文

三四年前、いろいろなところで青年論がされたことがあった。そのときは、現実の社会生活と文化との間にヒューメンなものの可能を積極的に見出してその成長や開花を求めてゆこうとしていた日本の精神のあらわれの一つとして、多くの可能をひそませているはずの人間の青春、青年が評価され直したのであったと思う。 このごろまた雑誌や演説で、ひどく青年は呼びかけられているし、激励されているし、期待するところ大なり

文字遣い

新字新仮名

初出

「法政大学新聞」1940(昭和15)年7月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十二巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年4月20日