しょうわじゅうごねんどのぶんがくようそう げんだいぶんがくのたなんせい |
昭和十五年度の文学様相 現代文学の多難性 |
冒頭文
今年の文学ということについて大略の印象をまとめようとすると、一つの特徴的な様相がそこに浮んで来るように思う。 それは作品と作家との間に生じた問題とも云える種類のものである。私たちが偏らない心で今年の文学を思いかえしたとき法外・格外の傑作、問題作、前進的作品というものは作品活動一般についてなかったと判断するにかかわらず、作家たちの動きは特に今年の後半に到って夥しく、両者の間の動きの形は、作
文字遣い
新字新仮名
初出
「早稲田大学新聞」1940(昭和15)年12月18日号
底本
- 宮本百合子全集 第十二巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年4月20日