にほんのかっぱ ひのあしへいのことなど |
日本の河童 火野葦平のことなど |
冒頭文
生活の感情は実にまざまざと複雑になって来ている。作家がそういう今日の感情を生きているのだし、文学を読む人々の心にもその波動は在る。 作家とあれば、こういう時代だからこそ益々いい作品を書いて行くばかりだと、一層覚悟の臍(ほぞ)をかためるわけだと思うが、いい作品と自分に向って考えるとき、それはどのような作品として浮んで来るのだろう。 この答えは、作家一人一人によって様々であろうと思
文字遣い
新字新仮名
初出
「日本学芸新聞」1941(昭和16)年1月10日号
底本
- 宮本百合子全集 第十二巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年4月20日