シートンの「どうぶつき」 |
シートンの「動物記」 |
冒頭文
シートンの動物好き、動物に目と心とをひかれつくして飽きず観察に我を忘れる姿は全く一種独特である。著者が動物の面白さに身をうちこんでいる、その愛と面白さとが直接の共感となって私たちの心に流れ入って来るのである。 日本でも、土俗的な話の中には動物がどっさり登場して来るし、私たちがおばあさんからじかに聞いた話にも、猿や狼の物語があったのに、「動物記」のような本はないというのはどういうわけなのだ
文字遣い
新字新仮名
初出
「読売新聞」1941(昭和16)年4月9日号
底本
- 宮本百合子全集 第十二巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年4月20日