あすさくはな |
明日咲く花 |
冒頭文
文学の歴史をみわたすと、本当に新しい意味で婦人が文学の活動に誘い出されて来たのは、いつも、人民の権利がいくらか多くなって、すべての人が自分の考えや感じを表現してよいのだ、という確信を得た時代であった。 明治はじめの自由民権が叫ばれて、婦人がどしどし男子と等しい教育をうけ、政治演説もし、男女平等をあたり前のことと考えた頃、日本では、木村曙「婦女の鑑」、若松賤子「忘れ形見」などの作品が現れた
文字遣い
新字新仮名
初出
「文学新聞」第1号、1946(昭和21)年11月1日号
底本
- 宮本百合子全集 第十三巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年11月20日