しょうばいはみちによってかしこし
商売は道によってかしこし

冒頭文

商売は道によってかしこし。こういう言葉がある。さすが専門にそれを研究しているものは見事なものだ、という意味もいくらかふくまれているだろう。しかし、この言葉が云われるとき人々はその口辺に一寸薄笑いを浮べる。からくりはお手のものというわかり合いが互の間にとりかわされるのが普通だからである。 小説のことに関して、こんな話し出しかたは奇妙のようにも見える。けれども、出版という企業がはっきり、利益

文字遣い

新字新仮名

初出

「文化タイムズ」1947(昭和22)年1月20日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日