じょせいのれきし ぶんがくにそって |
女性の歴史 文学にそって |
冒頭文
私たちが様々の美しい浮き彫の彫刻を見るとき、浮き彫はどういう形でわたしたちに見られているだろうか。浮き彫の浮きあがっている面からいつも見ている。けれどもその陰には浮き上っている厚さだけの深いくぼみがある。人生も浮き彫のようで、光線をてりかえして浮き上っている面の陰には、それだけへこんだ面があり、明るさがあればそれに添った影がある。 文学は人生社会の諸相を、眼の前にまざまざと見え感じるよう
文字遣い
新字新仮名
初出
「女性の歴史」婦人民主クラブ出版部、1948(昭和23)年4月号
底本
- 宮本百合子全集 第十三巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年11月20日