まなつのよのゆめ
真夏の夜の夢

冒頭文

ルネッサンスという時代が、人間理性の目ざめの時期でレオナルド・ダ・ヴィンチを産みながら一方では魔力が人間生活に直接関係するということをまだ信じていた野蛮な時代であったという事実を、はっきり会得しなければならないと思う。とくに、いまの日本では。——ケプラーの伝記、メレジェコフスキーの小説をみてもそのことはまざまざと描き出されている。 最近の十数年間に、日本では二度、ルネッサンスにむすびつけ

文字遣い

新字新仮名

初出

「女靴の跡」高島屋出版部、1948(昭和23)年2月

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日