なぜ、それはそうであったか れきし・でんきについて |
| なぜ、それはそうであったか 歴史・伝記について |
冒頭文
私たちの日常生活でのものの考えかたの中には、随分現実よりおくれた型が、型としてはまりこんだまま残されていると思う。たとえば歴史というものの理解についても。—— 一般に歴史ときくと、まず昔のこと、と思う。歴史的といえば、昔より今までの間に起ったことで、社会的に人間的に一つの峰をなすような過去の事件という風に思う。歴史はいつもすぎたこととして感じとられ、今日という今の刻々が歴史そのものであり
文字遣い
新字新仮名
初出
「伝記」1948（昭和23）年11月号
底本
- 宮本百合子全集 第十三巻
- 新日本出版社
- 1979（昭和54）年11月20日