かわかみしにこたえる
河上氏に答える

冒頭文

河上氏の私に対する反ばくは一種独特な説諭調でなかなか高びしゃである、が、論点が混乱していて、多くの点が主観的すぎる。河上氏は私が「読者の声を拒絶し、封じ」「一切の批判をさしひかえ」させようとするかのように書いているが、全く事実に反する。この三年間、私は自分の仕事への数多くの批評に対して沈黙を守りすぎてきた。 文学作品は作品そのものの力で人の心に生きるものであり、歴史が価値を証明する。長篇

文字遣い

新字新仮名

初出

「アカハタ」1949(昭和24)年3月30日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日