ぶんがくとせいかつ
文学と生活

冒頭文

この講座でわたしの受けもちは「文学と生活」である。この課題は、考えれば考えるほど複雑で規模が大きい。どこからまとめていいかわからないような心持さえする。すべての文学は生活から生れ、生活のうちにかえってそこに生きついてゆく。生活と文学のこの関係は万葉集の時代から今日までつづいている。だから歴史的にみてくると、文学と生活はとりもなおさず階級社会とその文学史のようなものになりかねない。ところでその社会と

文字遣い

新字新仮名

初出

「入門文学講座 第三巻」新日本文学会、1950(昭和25)年3月

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日