ごがつのことば
五月のことば

冒頭文

去年の暮、福田恆存は、一九四九年を通観して、「知識人の敗北」の年と概括をした。これは、評論家としての氏にとって、きわめて意味のふかい一つの刻みめを印した発言となった。なぜならば、一九四九年の日本の現実は、混乱しながらもそこを縫って、本質的には氏の概括とは反対の性格をもつ流れがつよく自覚されはじめた年であったのだから。 福田恆存にとっては、中国の人民が革命に勝利したこともどこまでがほんとか

文字遣い

新字新仮名

初出

不詳、1950(昭和25)年4月執筆

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日