ことのしんじつ
ことの真実

冒頭文

一九四九年の春ごろから、ジャーナリズムの上に秘史、実録、実記と銘をうたれた記録ものが登場しはじめた。 氾濫した猥雑な雑誌とその内容はあきられて記録文学、ルポルタージュの特集が新しい流行となった。 記録文学(ルポルタージュ)、ノン・フィクションの作品が生れはじめ、またうけ入れられたのには、理由があった。戦争の永い年月、わたしたちの全生活がそのために支配され、欺瞞され、遂に破壊へつ

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1951(昭和26)年3月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日