いしんしのしりょうについて
維新史の資料に就て

冒頭文

いづれの世でも革命の際は必ず陰謀がこれに伴ふ。從つてこれに關する記録も多くは當時の陰謀から出た結果の記録であつて信用し難いものであることは、古來屡〻見る所である。然し或時期を經過すると其時の陰謀に與かつた人々の多くは亡くなり、自然に觀察が公平になるのと、從來の記録に反對の材料を發見して史實を一變することがある。どうかすると支那等の樣な國では朝代の替り目のみならず、同じ朝代の間にあつても陰謀簒奪など

文字遣い

旧字旧仮名

初出

談話筆記、1922(大正11)年8月

底本

  • 内藤湖南全集 第九巻
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年4月10日