じごくのししゃ |
地獄の使者 |
冒頭文
プロローグ その朝、帆村荘六が食事をすませて、廊下づたいに同じ棟にある探偵事務所の居間へ足を踏み入れたとき、彼を待っていたように、机上の電話のベルが鳴った。 彼は左手の指にはさんでいた紙巻煙草を右手の方へ持ちかえて、受話器をとりあげた。 「ああ、そうです。私は帆村です。……やあ土居君か。どうしたの、一体……分っている、君が事件の中に居るということが……。しかもそれは、新聞
文字遣い
新字新仮名
初出
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
底本
- 海野十三全集 第11巻 四次元漂流
- 三一書房
- 1988(昭和63)年12月15日