せいちょういよくとしてのれんあい
成長意慾としての恋愛

冒頭文

ある種の人々にとって、恋愛はそう大した人生の問題でなく感じられているかもしれない。あながち志壮なるが故にではなく、ごく古くからありふれた習俗の枠にはまった考えかたで、恋愛と青春の放埒と漠然混同し、その場その場で精神と肉体とを誘い込む様々の模造小路を彷徨しつつ、身を堅める時は結婚する時という風な生き方である。 そういう風の吹くままの流れかたを自身の生活として承認出来ない心持の多数の若い人々

文字遣い

新字新仮名

初出

「三田新聞」1938(昭和13)年11月10日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日