さいしょのとい |
最初の問い |
冒頭文
どんな育児の本も、必ずとり落しなく触れている一つのことがあります。それは幼い子供たちが次第次第に智慧づいて来たとき、心の目醒めを告げる暁の声としてきっと、「それは、なあぜ?」「どうしてそうなの?」と熱心に答えを求める。これこそ人間の叡智の芽であるから、決しておろそかに扱ってはならないということです。幼児について云われているこのことは、どうして人間の生涯のあらゆる時期により、深い成長発展のモメントと
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論」1939(昭和14)年4月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日