やまのかなたは じょうしきとはどういうものだろう |
山の彼方は 常識とはどういうものだろう |
冒頭文
よく、あの人は常識があるとか、常識がないとかいう。生活の普通の言葉として、私たちが使っている常識というのは、どういうものなのだろう。 世間普通に、誰でも知っているはずのいろいろなこと、判断の標準、善悪の分けめ、それらをひっくるめて私たちは常識といっていると思う。従って歴史の時代に応じて、常識の内容にもずいぶん大きな変化が起ってくる。今日私たちは、ギリシャの彫刻を非常に尊重して、たとえば、
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人画報」1940(昭和15)年4月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日