おんなのれきし そこにあるはんだんとせきにんのすがた |
女の歴史 そこにある判断と責任の姿 |
冒頭文
数人の若い女のひとたちが円く座って喋っている。いろんな話の末、映画のことになって、ひとりの人に、あなたは誰がお好き? ときいた。そのひとは房々と長く美しく波うたせてある髪を瀟洒な鼠色スーツの肩で一寸揺って、さあ、と口ごもっている。きまりわるいのかしらと思って、私は自分からロゼエの名などあげて、あなたは? ともう一遍云ったら、そのひとはいかにも生活から遠くのことでも云っている調子で、その映画のなかで
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人画報」1940(昭和15)年6月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日