かがくのじょうしきのため |
科学の常識のため |
冒頭文
コフマンの「科学の学校」が、神近市子の翻訳で実業之日本社から出版された。訳者からおくられた一冊を手提袋に入れてよそへ出かける電車の中だの、待っている間だのに読んでいるうち、この小さい本をめぐって私の感興はいろいろに動かされた。 「はしがき」にいわれているとおり、著者レイモン・コフマンというアメリカの社会教育者は、ほかに「人類文化史物語」という世界的な名著をもっていて、それはやはり神近さんが訳
文字遣い
新字新仮名
初出
「新女苑」1940(昭和15)年8月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日