ふじんのどくしょ |
婦人の読書 |
冒頭文
あらゆる面で婦人の読者がふえてきているのが、この頃の日本のありさまだと思う。二三年来、その率は急に高まっているだろう。出版のインフレーション景気ということがいわれ、書物の氾濫につれて、とくに文芸の範囲で婦人の読者の数はましていると思われる。そういう一般の傾向は今日誰の目にも明かに映っているのだが、それと同時に、その現象が文化の向上のためにも婦人の精神の真のゆたかさのためにも大いによろこばしいことと
文字遣い
新字新仮名
初出
「知性」1940(昭和15)年10月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日