しょくぎょうのふしぎ
職業のふしぎ

冒頭文

作家や評論家というものが、女の生活についてどういう考えかたをしているかということは、一応わかりやすいことのようで案外めいめいにとってもわかりやすくない部分を内部にもっているのではないだろうか。 文学の世代的な性格に即して云えば、石川達三、丹羽文雄、高見順などという諸作家が新進として登場した当時、一時代前の新進は女に捨てられたり失恋したりして小説をかいて来ていたものだが、現代の新人は反対に

文字遣い

新字新仮名

初出

「新風土」1940(昭和15)年10月1日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日