はたらくふじんのあたらしいとし
働く婦人の新しい年

冒頭文

来年という声は、今日の日本のみんなに独特の感じを与えながら迫ってきた。きょうの生活の推しすすめとして今年の暮を考える心、さて来年は、と思う心、それは私たち日本の女にとって、これまでしばしば経験されて来たと同じ種類の年末、年頭の感想ではないように思われる。 日本の歴史をこめて世界の歴史は本年の間に未曾有の展開を示した。きわめて複雑な利害と力のからみ合いのままでこの年は暮れるであろう。世界史

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人画報」1940(昭和15)年12月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日