はたらくふじんのうたごえ
働く婦人の歌声

冒頭文

今日いろいろの職場に働いている若い婦人たちはただ自分たちがそうやって毎日勤めに出て働いているということにだけ誇りを感じているような単純な心で社会を見てはいない。 勤勉なこれらの女性たちは、自分たちの働きに酬いられるものが自分一人を食べさせ、住ませ、着させ、人間として向上してゆくために決して十分でないことをよく知っている。友達としては積極に社会へ出て働く婦人を好んでも、妻としての女性を考え

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人画報」1941(昭和16)年2月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日