びみょうなにんげんてきこうさく ざっしジャーナリズムのりそうせいとげんじつせい
微妙な人間的交錯 雑誌ジャーナリズムの理想性と現実性

冒頭文

今日の雑誌ジャーナリズムは、大ざっぱにだけ眺めわたすと満目悉く所謂(いわゆる)事変ものの氾濫である。すべての雑誌の表紙は刺戟的なグラビア版で赤や黒のフラッシュのついた文字で彩られているようなのであるけれども、そうかといって単純にキングと文芸春秋とは全く等しい傾向をもって、戦時特輯をしているかと云えば、そうでないことは自明である。 ここに極めて複雑である今日の雑誌ジャーナリズムの感覚とひい

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本学芸新聞」1937(昭和12)年11月20日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日