しんにゅうせい |
新入生 |
冒頭文
この頃は朝早く出かけることが多くて、電車へのるところまで歩く間に、どっさり学生にすれちがう。新しい靴、洋服、ランドセルに大きめの帽子をかぶった小学一年生。新入学の女学生や中学生たち。七つ八つの子供から二十を越したぐらいの男や女の子が、様々の表情と風采とをもつ勤人たちの波に混って、楡の芽立ちかけた横通りを来るのである。それらの人通りは、あんまりひろくない通りいっぱいに溢れて来るから、こちらからその人
文字遣い
新字新仮名
初出
「日本学芸新聞」1940(昭和15)年4月20日号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日