こんにちのじもく |
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冒頭文
高札 いつも通る横丁があって、そこには朝鮮の人たちの食べる豆もやし棒鱈類をあきなう店だの、軒の上に猿がつながれている乾物屋だの、近頃になって何処かの工場の配給食のお惣菜を請負ったらしく、見るもおそろしいような烏賊(いか)を賑やかに家内じゅう総がかりで揚げものにしている蒲焼の看板をかけた店だのというものが、狭い道に溢れて並んでいる。 そういう横丁の出はずれに一軒しもたやがある。門構え
文字遣い
新字新仮名
初出
「現地報告」1941(昭和16)年2月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日