こんにちのせいかつとぶんかのもんだい
今日の生活と文化の問題

冒頭文

文化という二つの文字に変りはないようだけれども、歴史のそれぞれの時代で文化の示す様相は実に変化の激しいものがある。そして、文化が危期におかれるという現実もあり得るのである。 大体私たちは日常の言葉として文化を云う場合、それはいつも人間生活の何かの進歩、何かの知慧の明るさ、醜いものより美しさに近づいたものを考えているのだと思う。昔ながらの煽げば煙たいへっついでも、幾らか改良を加えれば、それ

文字遣い

新字新仮名

初出

「生活の思索」教材社、1941(昭和16)年5月発行

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日