せいかつのなかにあるびについて |
生活のなかにある美について |
冒頭文
私たちの日常生活のなかにある美しさというものも、今はなかなかきつい風に吹かれているのではないだろうかと思う。 日々の生活にあった日本の美しさの隅々が変化をうけつつある。たとえば家の障子というものの感覚は、私たちの感情に結びついたもので、障子をはりかえたときのさわやかな気持だの、障子の上の雪明りだの日本の抒情に深い絆がひそんでいる。けれども、今日では普通の家の障子は、随分とひどい紙で張られ
文字遣い
新字新仮名
初出
「アトリエ」1941(昭和16)年7月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日