ぼせいへんちょうをはいす
母性偏重を排す

冒頭文

トルストイ翁に従えば、女は自身の上に必然に置かれている使命、即ち労働に適した子供を出来るだけ沢山生んでこれを哺育(ほいく)しかつ教育することの天賦の使命に自己を捧(ささ)げねばならぬと教えられ、またエレン・ケイ女史に従っても女の生活の中心要素は母となることであると説かれる。そうしてトルストイ翁では男の労働に対してする余力ある女の助力が非常に貴いものであるとして許容せられるに反し、ケイ女史では女が男

文字遣い

新字新仮名

初出

「太陽」1916(大正5)年2月

底本

  • 与謝野晶子評論集
  • 岩波書店、岩波文庫
  • 1985(昭和60)年8月16日