ふちんぐんかんのみほん ――きんはかせシリーズ・じゅう――
不沈軍艦の見本 ――金博士シリーズ・10――

冒頭文

1 さても日本対米英(べいえい)開戦以来、わが金博士(きんはかせ)は従来(じゅうらい)にもまして、浮世(うきよ)をうるさがっている様子であった。 「ねえ、そうでしょう。白状なさい」 と、その客は金博士の寝衣(ねまき)の裾(すそ)をおさえて話しかけるのであった。金博士が暁の寒冷(かんれい)にはち切れそうなる下腹(したばら)をおさえて化粧室にとびこんだとたん、扉の蔭に隠忍待(いんにん

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1942(昭和17)年2月

底本

  • 海野十三全集 第10巻 宇宙戦隊
  • 三一書房
  • 1991(平成3)年5月31日