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冒頭文
去る四月一日の『大学新聞』に逸見重雄氏が「野呂栄太郎の追憶」という長い文章を発表した。マルクス主義を深く理解している者としての筆致で、野呂栄太郎の伝記が細かに書かれ、最後は野呂栄太郎がスパイに売られて逮捕され、品川署の留置場で病死したことが語られている。「昭和八年十一月二十八日敵の摘発の毒牙にかかって遂に検挙され」当時既に肺結核を患っていた野呂は「警察における処遇に抗しかねて僅か二ヶ月に足らずして
文字遣い
新字新仮名
初出
「東京大学新聞」1946(昭和21)年7月23日号
底本
- 宮本百合子全集 第十六巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年6月20日