ごうかばん |
豪華版 |
冒頭文
どんな作家でも、自分の書く本が立派にこしらえられ、そして見事に売れることをよろこびとする。しかし、その自然なこころもちは、時代のいろいろの関係で、あながち、芸術的に発露されにくい。何しろ、出版企業というものに結びついているのだから。 文学を愛し、文学をつくる人になる前に生活の必要と文学愛好の心からジャーナリズム関係に入る若い人は、みんな大抵幻滅を経験する。バルザックの「幻滅」とはちがった
文字遣い
新字新仮名
初出
「文学会議」第一輯、1947(昭和22)年4月30日号
底本
- 宮本百合子全集 第十六巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年6月20日