へいわをわれらに |
平和をわれらに |
冒頭文
ここに一個の人物がある。自分のしたい存分をやって、しかもその行為の責任を問い批判する権利をもっている人々の眼、口、耳をおおうために、そこにある報道能力を奪うとしたら、社会の常識は、そういうやりかたを何という名でよぶだろう。ひとのうちへ押し入って勝手な暴力をふるおうとするものが、よく電話線をきったりする。さるぐつわをかませる。手足をしばる。そして目的を達する。こういう行為は反社会的な犯罪とされている
文字遣い
新字新仮名
初出
「青年新聞」1949(昭和24)年4月12日号
底本
- 宮本百合子全集 第十六巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年6月20日