きちくのことば |
鬼畜の言葉 |
冒頭文
メーデーからはじまって、五月は国民一般の祝日の多い月だった。憲法記念祭、子供の日、母の日。どれをとっても、それぞれに新しい日本に生きるよろこびとはげましと慰藉とを意味しないものはなかった。そしてそれらすべての心がめざすところは、世界の平和であった。四月末の、政府のきめた婦人週間にしろ、ことしは、はっきりと百数十万の日本の未亡人の問題がとりあげられた。そして、ここにも希望されたのは平和であり、生きて
文字遣い
新字新仮名
初出
「青年新聞」1949(昭和24)年5月24日号
底本
- 宮本百合子全集 第十六巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年6月20日