ひらきぶみ
ひらきぶみ

冒頭文

みだれ髪 君 事なく着きし電報はすぐ打たせ候ひしかど、この文は二日おくれ候。光(ひかる)おばあ様を見覚えをり候はずなく、あたり皆顔知らぬ人々のみなれば、私の膝(ひざ)はなれず、ともすればおとうさんおとうさんと申して帰りたがりむづかり候に、わが里ながら父なくなりて弟留守にては気をおかれ、筆親(したし)み難かりしをおゆるし下されたく候。 こちら母思ひしよりはやつれ居給(い

文字遣い

新字旧仮名

初出

「明星」新詩社、1904(明治37)年11月号

底本

  • 与謝野晶子評論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年8月16日