ふじんしどうしゃへのこうぎ
婦人指導者への抗議

冒頭文

私たち日本婦人は一九一九年において破天荒な刺戟を受けました。それは私たちが世界に触れると共に未来に触れたことです。久しく家庭と因習との窮屈な中に機械的の存在者であった私たちが、一躍して世界の生活に接触し、未来の生活理想と交渉するに到ったことは驚くべき激変と言わねばなりません。 その一九一九年も今は過去に属してしまいました。そして私たちがこの新春を迎えることは、最早見苦しい旧吾を重ねること

文字遣い

新字新仮名

初出

「雄弁」1920(大正9)年1月

底本

  • 与謝野晶子評論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年8月16日