がいせんまつり |
凱旋祭 |
冒頭文
一 紫の幕、紅(くれない)の旗、空の色の青く晴れたる、草木の色の緑なる、唯(ただ)うつくしきものの弥(いや)が上に重なり合ひ、打混(うちこん)じて、譬(たと)へば大(おおい)なる幻燈(うつしえ)の花輪車(かりんしゃ)の輪を造りて、烈(はげ)しく舞出で、舞込むが見え候のみ。何をか緒(いとぐち)として順序よく申上げ候べき。全市街はその日朝まだきより、七色を以て彩られ候と申すより他はこれなく候。
文字遣い
新字旧仮名
初出
「新小説」第二年第六巻、1897(明治30)年5月
底本
- 外科室・海城発電
- 岩波文庫、岩波書店
- 1991(平成3)年9月17日