だんそう |
断想 |
冒頭文
人類が、生命の本然によりて掛ける祈願の前に、私共は謙譲であり、愛に満ちてありたい。 あらゆる悲惨の彼方へ、あらゆる不正と、邪悪との彼方へ! 其れは利己的な、一寸法師の「我」が探求する事なのではないのだ、と想う。お互の魂の純真な憧憬を尊ばなければ成らない。或る人が、嘗て抱いていた希望を破壊されたからと云って、希望其ものの本質まで否定する事は許されない。 幸福と云う事、真実な正義と云う事に
文字遣い
新字新仮名
初出
「読売新聞」1920(大正9)年1月1日号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日