日常生活の形式等は、出来る丈単純にしているので、今私の心に在るものは、改良したいというより、寧ろ進展したい心持でございます。けれども故石川啄木の歌に ひと晩に咲かせてみむと梅の鉢を 火に焙りしが咲かざりしかな とある心持を深く、切実に感ぜられます。 一九二一年一月