ふたつのたいど |
二つの態度 |
冒頭文
心中の道行で、あっと云わせたい心持が、毎(いつ)も毎も定った物許りで詰らない、一つ此でも遣って見よう、と云う場合と、其物語に共鳴し人生に非常に価値ある事件として、見る者を驚歎させようと思った場合とは、心の態度に於て、大きな差があると思います。けれども、新しい選択を始めた時、何故曾根崎心中に手がついたかを考える時、其は、現今の、女高師の全教師生徒の上にかかっている、本質的に最も重大な問題だと思います
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論」1921(大正10)年3月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日