はじめてちくおんきをきいたときとすきなレコオド |
初めて蓄音器を聞いた時とすきなレコオド |
冒頭文
一、私が生れて始めて蓄音器と云うものを見聞いたのは、もう十四五年前、父が英国から土産に買って来たものでした。大きな銀色の朝顔型のラッパ、耳を澄ますと、スースー、スースーと云う針の音。小さい弟達と三人で、熱心にラッパを見つめ、今考えれば、さほど芸術的でもなかったらしい沢山の唄をききました。 二、パストオラル・シムフォニー。オールドリフレーン。フィフス・シムフォニー。概してピアノや絃楽、交響楽を好ん
文字遣い
新字新仮名
初出
「新家庭」1922(大正11)年6月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日