みじめなむがむちゅう ふくちやまこうじょのじけんについて
惨めな無我夢中 福知山高女の事件について

冒頭文

ああいう事の起る第一の原因は、女性も男性も、自分の心を一応考えて見るだけ頭脳の訓練を持っていないことだと思います。偶々(たまたま)外的の関係は教師と生徒であっても、本能の発露は村の若衆と小娘との情事めいています。 男の先生と女の生徒との間には、同性間に見られない特殊な雰囲気の生ずることは誰でも知っていることで、その最も美しい例を私共は、聖フランシスと聖クララとの情宜、良寛の女弟子との交り

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1924(大正13)年5月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日